立地環境 -越後沼と越後沼湿原-
越後沼湿原が立地する付近は、かつては石狩川が融雪期や大雨によって毎年のように氾濫を繰り返してきた地帯であり、越後沼湿原の周辺一帯は、この増水で形成された自然堤防によりせき止められた沼地に形成された湿原地帯であったと考えられる。国土地理院発行の旧版地形図によると、湿原内に存在する越後沼はほぼ形をかえることなく現在に至っており、広大な湿原内にあった沼のひとつであったことが伺える。
その後、開拓とともに周辺の水田に農業用水を供給する水瓶として利用され、周囲の湿原域とともに埋め立てられることなく今日に至っている。農業用水は千歳川から導水されている。また土地は江別市が管理しており、鳥獣保護法に基づく特定猟具使用禁止区域として狩猟が禁止されている。
越後沼と周囲の湿原は、地域の人々の憩いの場所であり、隣接する農村公園には犬を連れた人々の散歩も多い。そのほか沼に集まる水鳥を楽しむバードウォッチャーや、昆虫愛好家、写真愛好家、釣を楽しむ人もしばしば訪れる。北西部の入り口付近には、龍神信仰の神社があり、神社からまっすぐ湿原を抜けて沼に至る道は、“龍神様の通る道”と称され毎年秋に地域の人々によって刈り払いが行われている。
湿原の名残を残す植物は、ハート形の沼に半島状に突き出た部分にササに埋もれるように残存している。この区域の農村公園に面したところは、過去に一度牧草地化されたが、成績不良のためか後に放棄されて現在はササ原と化している。農村公園と湿原との間には排水用の明渠が掘られているほか、2007年に融雪期に沼の水位を速やかに下げることを目的とした排水路と堰が整備されている。